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私達は、​あるお願い事をする為に、​大邱への旅行を決めました。
ここは、一生に1つだけのお願いを聞き入れて下さるという、大邱の八公山冠峰の頂上に鎮座するカッパウィと呼ばれる石仏様。
当時は、全くコネストさんを利用していなかった為、観光案内所で行き方などを聞きました。

思っていたより、道は急で、整備されているとはいえ、とんでもなくきつい階段が続きます。
アジュマ達にどんどん追い越され、登っては休み、頂上に着いたのは2時間後でした。

すでに沢山の方達が懸命に祈りを捧げ、写真を気軽に写せるような雰囲気は全くありません。
誰かに声をかけて聞く事もできず、私達は大きな蝋燭を買い、そこに安全ピンで願いをしたためる事にしました。

しかし、2011年5月、東日本大震災が起きて間もない時でした。
遠く離れた場所で起きた事とはいえ、私には何の力もなく、助けたくても何も出来ず、物資や義援金を送るのが精一杯でした。
今、この瞬間にも辛い生活を余儀なくされている人が大勢いるのに、自分達は旅に来ている。
それに比べたら、私達が切に願う事など小さな事に思えました。
私は、自然と「大震災で被災された方が一人でも早く、元の生活に戻れ、一人でも多く、幸せになれますように」とお願いしました。

昔はテレビで、平和を願う人を見て、偽善者だと思う時期もありましたが、石仏様を前にして、被災された方を思う気持ちは、心の底から湧いてきた願いでした。
ふと、相方の蝋燭を見ました。
すると、2人でお願いしようとしていたお願いではなく、私の病気が完治しますようにとの言葉が書かれていました。
自身も1万人に1人と言われた難病にかかったばかりだったのに…
私は、目頭が熱くなり、涙を拭きながら祈りを捧げました。

あれから、6年が経ちました。
震災にあわれた方は、一人でも早く、元の生活に戻れているでしょうか?
国は、一人でも早く元の生活に戻れるよう、今も努力を続けて下さっているのでしょうか…?
カッパウィ石仏様は、その時の私達の心をくんで下さったのか、蝋燭には書かなかった、私達が本来お願いに来た、絶対に無理だと思われた願い事を、その後そっと叶えて下さいました。