2015/12/28 14時半ごろに訪問しました。
扶蘇山城と宮南池のちょうど中間辺りに位置し、どちらから歩いても10分ほどのところにあります。
私は宮南池から行ったのですが、塀の内側に見え隠れする石塔を眺めているうちに、定林寺址を囲んでいる塀に沿ってぐるりと一周してしまいました。
どこかに裏門があるかと思いきや、入口は南側の一箇所だけなのでご注意ください。
さて、入場料を払って中に入ると、右手に定林寺址博物館、左手に定林寺址があります。
早速、定林寺址へ行ってみますと、きれいに整備されて公園のようになっていますが、よく見ると建物や回廊の跡があり、かなり大きなお寺だったことが分かります。
中央には、五層石塔がありますが、今まで私が見てきた石塔とはちょっと違い、石塔の屋根?の部分が複数の薄い石板の組み合わせで構成され、大きく張り出しています。
塔の本体もまっすぐに切り出された石を組み合わせているため、全体的にすっきりとした印象を受けますが、塔の随所に現れる直線が力強さを同時に感じさせます。
また、石塔の奥の建物には、石仏坐像がありますが、こちらは損耗が激しく、体の部分は形がほとんど残っていないものの、不思議と包み込むような温かさを感じます。
仏像の裏側に回ることもできるので、裏から見てみると大きな岩を削って作られたことがよくわかります。
定林寺址博物館では、この石仏や石塔の歴史についても紹介されているのですが、どうやら数々の動乱の時代を経て、一時は完全に野ざらしのまま放置されていたようです。
過去からずっとこの場所で、いろいろな歴史の場面を見守って、これからもこの場所にあるのだと思うと、なんとも不思議な気分になりますが、願わくば、また野ざらしになってしまう事がないことを祈ります。
あまり派手さはありませんが、ここでしか見られない独特の石仏と石塔は一見の価値が十分あると思いました。