総合掲示板

　韓国には、詩碑や歌碑などの石碑がたくさんあります。文字は何とか読めるのですが、読めても意味が分からないことが多いので、いつもは、素通りしています。

　先日（11月17日）、海雲台の海岸を散歩していて、ある石碑の前で足が止まりました。何回も通ったことのある場所ですが、石碑の存在を初めて知りました。いつも、別の方向（ビキニのおねえさんなど）を見ていたのだと思います。立ち止まったのも何かの縁と、ゆっくりと読んでみました。「釜山港へ帰れ」の歌碑でした。この歌、昔、日本でも大流行しました。多くの日本人が、「椿咲く春なのに～」と口ずさんだものです。

　そして、この歌碑を見て、すっかり忘れていた遠い昔の記憶が、鮮明に蘇りました。

　左遷のような形で、田舎の小さな事務所に転勤を命じられ、その後、専門分野の知識を生かせる他の職場に変わりたいと何回も申し出ましたが、ずっと無視され、飼い殺しの状態になっていました。
　そして迎えたある年の歓送迎会。また残留組でした。転勤する人たちの目が輝いているように見えました。

　職場の宴会では、指名された順に歌を歌うことになっていました。音痴のため、いつもは他のかくし芸をやってごまかしていましたが、この日は、グラスに２杯お酒をぐっとやって、歌いました。即興で作った「釜山港へ帰れ」の替え歌です。職場を変わりたい一心でした。

　”椿咲く春なのに　わたしは変われない　たたずむ○○○○○に　涙の雨が降る・・・・・・変えておくれよ　所長さん　今も信じて　耐えてるわたしよ・・・・・”

　会場が静まり返りました。そして１年後、ちょっとだけ能力を生かせる職場に転勤が決まりました。

　それからまた数年後、なんとか時間をやりくりして、念願の韓国初旅行に出かけました。着いた所は、釜山港でした。