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ブックレビュー「日本人、心理の箱」
投稿者 : コネスト ソラミミ 2016-10-25
韓国に初めて来たのは学生時代でした。学校の交流行事の一環で、韓国語はほとんど話せなかったものの、チューターの韓国人学生との交流が楽しかったことを覚えています。
「韓国では誘ったほうがおごることが多いのでね。親しい仲なら、おごってもらうのも普通だし、むしろそれが親しみの表現だったりするのよ。彼に悪気はなかったと思うわ。」
そんなこと納得できないとばかりに激昂寸前の私たちをちょっと困ったような様子で静かに見守っていた先生の顔、ウン十年昔のことがこの本「日本人、心理の箱」を読んで思い出されました。
日韓それぞれの人たちにとって「日本」「韓国」が身近な海外旅行先であることはニュースなどでご存知だと思いますが、特に日本を旅行する韓国人(3,288,900人)は韓国を旅行する日本人(1,451,565人)の2.3倍です。韓中が蜜月と言われていますが中国を旅行する韓国人(698,100人)は日本への訪問者数に比べると約5分の1です。
そんな訳で、韓国人の中には、日本に友好的であるだけでなく、日本ツウの人も結構いるのです。ドラマ、アニメなどのエンタメ系は昔からですが、最近は旅行経験が豊富な人が多いので、グルメなんかの知識や関心が本格的になってきた気がします。
そんな最近の風潮に物申す(?)「日本について大体しか知らないくせに、すごくよく知っていると錯覚している韓国社会に対して、日本をまともに知らせる教科書がこれだ!」「韓国人が知らなかった日本人の24の心理コード」みたいなコピーのついた一冊がこれです。
ちょっとでもディスってたら噛み付いてやると、まったく意味不明の敵愾心を燃やして読み始めたら、ものすご~く真面目~な内容でした。 SBSの特派員である著者が日本での駐在体験をベースに、社会学的に日本の現代社会の事象を解説してくれます。草食男子とか壁ドンとか。
韓国にある程度住んでいると「韓国のことが大好きなんですね!」「すっかり馴染んでますね!」とよく言われます。あながち間違ってはいないのですが、でもそう言われるのに非常に違和感があります。
この本は、そんなカルチャーギャップを韓国人の視点から丁寧に解説し、両者に悪気はないけどズレてしまう事例なども紹介しています。「だから日本人はこうなんだ」ではなくて、「だから両者にギャップができるんだ」という内容になっているからか、自分自身が韓国と日本の違いをおもしろがったり、戸惑ったり、腹を立てたりしていたことを素直に振り返らせてくれました。
「慣れ」というのは怖いもので、 何事も感じなくなったり、面倒くさくて放置あるいは無関心になってしまいます。
BOOK DATA タイトル: 日本人、心理の箱(일본인 심리상자) 著者: 유영수 出版年:2016 価格:15,800원 ISBN: 9791160070231
韓国語中級以上。辞書なしチャレンジにおすすめ。「미・야・자・키・하・야・오、ミ・ヤ・ザ・キ・ハ・ヤ・オ、あ、宮崎駿か。もう漢字で書いてよ」みたいに突っ込みたくはなるものの、 日本がネタなので頭の中にするする入ります。 「若者文化」「コミュニケーション」「家庭と日常」「大地震と不安」の4章から成っているので、興味のあるところからどうぞ。
編集部:ソラミミ |
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