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外国に来たな、と実感するのはどの瞬間だろうか。qingは街を歩きながら、外国語が書かれた看板が目に飛び込んできたときだ。看板はその店の広告塔、言葉だけではなく、あの手この手で道行く人に存在を主張する。
お隣の国とはいえど、日本とはだいぶ異なる個性溢れる看板を見ることができる韓国。そんな愛すべき「韓」板の数々を集めたのが「魅惑の韓看採集の世界」だが、記事で紹介されている以外にもまだまだ類型は色々ある。今回は登場していない、qingお気に入りの看板事例をご紹介したい。

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1.店の経営者が一目瞭然の「プロフィール看板」
全国的に見られる、qingお気に入りの形態の一つ。店主(おそらく)の写真が、自分こそがまさに店の「顔」であると主張している。遠くで発見すると思わず近寄りたくなってしまう。実際に店で本人に出会うと少し得をした気分になるのも◎。

2.メニューの本場がわかる「地名プラス看板」
シンプルに「地名+料理名」の店名も多いが、そこに書かれた地名は、料理の本場として知られるエリアや地方を指す(他には主の故郷を指す場合もある)。日本だと「信州蕎麦」という店名のようなものだ。
よく見かけるのが「チュオタン(ドジョウ汁)─南原(ナムォン:韓国南部の都市。チュオタンが名物)」「ナッチ(テナガダコ)─武橋洞(ムギョドン:ソウルの武橋洞ナッチ横丁が有名)」「カルグッス─明洞(ミョンドン:定かではないが「明洞餃子」に由来するのではないか)」など。「本場の味を提供してくれるはず」という期待から、つい足が向いてしまう。

3.店主の攻めの姿勢が伝わる「支店はないが、本店」
看板の隅に小さく書かれた「본점(本店)」の文字。控えめだがそこには店主の意気込みが示されている。なぜなら韓国では実際はチェーン店をもたない店舗でも看板に「本店」とつく場合が少なくないからだ。店が繁盛して、2号店・3号店と増えていくのを期待しての縁起担ぎだろうか。たいていが「체인문의(チェーン店問合せ) XX-XXXX…」という電話番号もセットになっている。

「30年伝統の味」も ハルモニの写真で説得力が増す 構造はシンプルだがインパクト大

 

   
 「南原チュオタン」の店。同名店舗は
限りなく多い
 店名下に小さく書かれた
「本店」と「チェーン店問合せ」
(知る限り、店はここ一つ)



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ご紹介した以外にもまだまだある、魅力的な看板たち。しかしそれらが次第に希少なものになりつつあるのはご存知だろうか。自治体が行なう景観美化計画の一環で、ソウル市内で大通りに面した店舗を中心に、看板の画一化事業が進んでいるのだ。最近街を眺めると、通り沿いのビルなどは、ゴシック調のちょっと浮き出た看板に付け替えられつつある。自由でのびのびとしていたかつての看板が、「優等生」なものに変わっていくのは若干寂しくも感じられる。
ただし「即席キムパッ」のように正確な店名が掲げられていなかった店が、付け替えを期にある日「李家 即席キムパッ」と名付けられたりするので、侮れない部分もある。

ともあれ、しばらくは議論が尽きなさそうな韓国看板。これからも見守り続けていきたい。

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