世の中「まとめ」流行りです。
手軽にかつ安易に複製することが「まとめ」だとされているようですが、そもそも「まとめる」とは、
1.ばらばらのものを集めて一つにする
2.整理したり、折り合いをつけたりして、望ましい形に落ち着かせる(引用:大辞林)
という意味となっています。
「まとめる」作業には選定して集める苦労やある目的のために調整をする苦労を経て、その結果、新しい成果物が誕生することもあるわけで、昨今の「まとめ」ブームは「まとめる基本」から外れていて、嘆かわしい限りです。
さて、本の世界はずっと以前から「まとめ」が存在していましたが、人気作家の小品を集めた短編集とか、遡れば国語の教科書も名作の「まとめ」だったりします。手に取ったことのない多彩なジャンルの世界に触れるには「まとめ」はなかなかどうして有効な手段です。
2017年1月に放送が終了したばかり、コン・ユ主演のドラマ「わびしく燦爛な神(しん)―鬼(原題:도깨비(トッケビ))」に登場するこの詩集も「まとめ」です。
韓国を中心に世界各国の詩101編(石川啄木も収録)と選者であるキム・ヨンテク氏の作品10編をあわせた111編が収められています。
詩にあまり興味がない上に、興味を持っても何を読んでよいのかわからない身には、同僚のSちゃんが「コン・ユ、コン・ユ」と熱狂していた影響を受け、単なるミーハーな好奇心で手に取っただけでしたが、意外にも詩への入口を作ってもらえたようで嬉しくなる一冊でした。
さらに左ページに詩、右ページに空白という構成。これは詩を書き写して心に留めておいてね、という選者の意図。かつ各ページは詩のイメージにあわせたデザインが施されており、凝ったつくりになっています。
コン・ユも空白を利用して「첫사랑이었다」と書いてました(最後に愛は燃えましたが…)。
詩の味わい方はよくわかりませんが、活字を読み進めてざくざくと追っていく感じが好きな私には、詩の立ち止まる感じが非常に新鮮。心を落ち着けて、今度は書き写してみようかと思います。
BOOK DATA
タイトル:ひょっとしたら星があなたの哀しみを持っていくかもしれない(어쩌면 별들이 너의 슬픔을 가져갈지도 몰라)
著者:김용택
出版年:2015
価格:12,800원
ISBN:9788959139309
同じ表現が繰返されたり、類語がたくさん出てくるので、言葉の選び方、違いについて考えさせられます。真剣に読めば想像以上に韓国語の勉強になるかも。韻を踏んだり、擬声語・擬態語も良く出てくるので、口に出して読むのもいいですね。中級以上の方におすすめ。
編集部:ソラミミ