|
ブックレビュー「アンニョン、酒飲みたち」
タイトルの通り「酒」にまつわる話の短編が7編収められています。ただし、グルメ小説的な内容ではなく、その登場人物の中での「酒」との関わりが、ある時は深く、ある時は近く遠くから、描かれています。
韓国語でただ「アンニョン」というと「アンニョンハセヨ(こんにちは)」「アンニョンヒカセヨ(さようなら)」の両方の意味で使われる場合があり、この作品はどちらを指しているのか考... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「2020 第11回若い作家賞受賞作品集」
短編が好きです。
韓国語で読む場合は短い方が圧倒的に読みやすいということもありますが、ある一瞬の出来事や短い時間軸の中で起きたことが綴られていることの多い短編は、核心部分に触れるとお話が終わってしまいます。
なので、余白が結構あって、読み手が色々と考える余地が生まれるように思います。
そのポンと手渡されたような気分が好きです。
一人の作家の短編集... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「天女銭湯」「オムライス ジェムジェム」
落ち着かないニュースに日々、心がささくれてしまうような昨今ですので、気持ちが穏やかになってほっこりさせてくれる2冊をご紹介します。
まずは「天女銭湯」。ペク・ヒナの作品は日本でも数多く翻訳出版されていますので、ご存知の方もいらっしゃると思います。先日、児童文学界のノーベル賞と呼ばれるアストリッド・リンドグレーン記念児童文学賞を受賞したというおめでたいニ... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「惜別」
今年の韓国は日本同様、暖冬でした。
ソウルには積雪もなく、道が凍結することもほとんどなく、もちろん漢江(ハンガン)が凍ることもありませんでした。
寒波でマイナス10度が続いた後には、マイナス5度でも大気の緊張が解けたようで、少しほっとすることがあります。
気のせいに過ぎませんが、暖かくすら感じるのです。
そんな、寒さが一時和らいだある日の夕方が短編小説「惜... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「仕事の喜びと哀しみ」
表題作「仕事の喜びと哀しみ」他、7編が収められている、 チャン・リュジンの初作品。
1986年生まれの著者の世代が主人公で、登場人物のほとんどが会社員です。
主人公として設定されている人物は、平凡なスペックで、なんとか勤めてはいるものの、思うようにならないことも多く、給与には満足できず、でも、頑張っているし、夢だけ見てはいられない現実感を持った良識ある普通の人々... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「空地にて」
以前、ご紹介した「南漢山城(ナマンサンソン)」の著者で、李舜臣(イ・スンシン)
が主人公の「刀の詩(칼의 노래,日本語題「孤将」)が大ベストセラーとなり、代表作となったキム・フン。
ドラマや映画の原作になっている作品が有名なので、朝鮮時代を描く時代小説の方だと勝手に思っていました。
「空地にて」は日本の植民地時代から始まり、解放独立、朝鮮戦争、ベトナム戦争、80年代... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「娘について」
自分の感情や環境によって、受け止め方が変わるので、
同じ小説を読んでも昔と今では、心に残る部分が全然違うというのはよくあるお話です。
さて、この「娘について」。
いつ読むのかによって、どう心に響くかは人により様々であろうことが想像に難くありません。
登場人物は四人の女。
母
娘
娘の恋人の女
母が勤める介護施設の入所者である老女
母は娘が同性... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「ギター・ブギー・シャッフル(Guiar Boogie Shuffle)
1962年から1963年の韓国・ソウルを舞台にした小説「ギター・ブギー・シャッフル」。
まず、どんな時代であったかを世界の事件から…。
1963年11月 J.Fケネディ大統領暗殺
1963年11月 ビートルズ「I Want to Hold Your Hand」で本格的にアメリカデビュー
1963年12月
朴正煕第5代大統領
就任
1963年12月 プロレスラー力道山死去
1964年10月... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「ジュリアナ東京」
2019年、偶然、目にした小説「ジュリアナ東京」。
平成バブルとバブル崩壊に呼応するように現れて消えていった「ジュリアナ東京」がなぜに韓国の小説に??
内容もよく見ずにタイトルだけに惹かれて読み始めた「ジュリアナ東京」でしたが、胸をギュッとわしづかみにされる作品でした。
いろいろな素材が複雑に絡み合っているのですが、メインテーマは、
・国籍や民族ではなく、... 続きを読む
|
|
|
ブックレビュー「82年生まれ、キム・ジヨン」
2016年の発刊以来、韓国で100万部を超えるベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」。
ついに日本でも翻訳版が発売されました!
翻訳文学としては異例の7万部に迫る売れ行きとのこと。
今年に入って、著者のチョ・ナムジュ氏が来日イベントを行うなど、メディアでも注目されたので、すでにお読みになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、平成が終わ... 続きを読む
|