我輩はコネスト特別捜査官Yoメン。
普段はブラインド越しにソウルの街を観察しているが、ひとたび事件が起きたり、気になることがあれば、どんな難題だろうが即座に現場に赴いて解決する。そんな我輩のことを人々はYoメンと呼ぶ。
さて諸君。我輩は先日、
仁川(インチョン)国際空港近くの離島で、観光客もあまりいない冬の海で哀愁を感じてきた(別に悲しい何かがあったわけではない)。仁川空港周辺には離島が多く、諸君の中にも仁川空港着陸または離陸時に飛行機の窓から島をいくつか確認した方もおられることだろう。空港の北にある三木(サンモッ)船着場からは信島(シンド)と長峰島(チャンボンド)行きのカーフェリーに乗る事ができ(矢島(シド)・茅島(モド)へは信島から橋で繋がっている。)、空港の南西部に位置する舞衣島(ムイド)へは、蚕津島(チャムジン)船着場からカーフェリーに乗ればよいわけだ。(それぞれの詳しい位置は
コネスト韓国地図を開いて確認いただきたい。)
で、今回我輩が行って来たのは舞衣島だ。もうピンと来ている諸君もいるだろうが、ドラマ「天国の階段」のロケ地となったハナゲ海水浴場や、実話を元にして作られた映画「実尾島(シルミド)」の舞台になった実尾島がある島だ。島自体は小さく、登山以外には観光名所と呼べる場所はこの2箇所くらいしかないが、ペンションが多く、大学生たちのMT(親睦合宿)でも人気の島なのだ。
ソウルからクルマで仁川空港を更に越え、蚕津島船着場へ。もう目の前には島が見えており、乗船時間もわずか10分弱だ。まず、ここで往復分のカーフェリー料金を払えば、帰りは特にチェックもなくフェリーに乗れるとの事。料金は軽自動車+3名分で24,000ウォンも取られたが、この料金が島の住民たちの経済効果に繋がるのなら悪くない話だ。シーズンオフの冬でも30分に一本船があり、ピークの夏場は頻繁に船があるようである。
島に到着し、アップダウンの激しい島道を走らせると、ドラマのロケ地となったハナゲ海水浴場(ハナゲ!?)に到着だ。この海水浴場へは入場料が必要で、大人1名2,000ウォンを払ってゲートの中にはいる(ドラマに登場した家の中に入りたい場合は、ここで更にお金を払う)。しばらく歩くと正面に美しい海水浴場がパーッと広がり、左側にドラマのセットと白いグランドピアノが見える。「あ~ここで、あんなシーンやこんなシーン。最終回のそんなシーンも撮影したんだなぁ~」と、もう何年も前に見た映像が思い出される。真冬の凍てつくような海風を浴びながらも、心が満たされた瞬間であった。機会があれば海の向こうに沈む、西海岸の美しい夕日も見てみたいものだ。
ドラマ「天国の階段」にも登場する道路を進むと蚕津船着場へ到着。 |
船着場から舞衣島までは目と鼻の先。乗船時間もわずか10分弱。 |
船を待つ間に天然の牡蠣を、ハルモニに負けじとたくさん食す。 |
ハナゲ海水浴場入口。無料入場ではなく、ここで海水浴場入場料を払う。 |
ドラマセットや白いグランドピアノは未だに健在。 |
ハナゲ海水浴場は、名前に似つかわしくなく美しい。 |
続いて訪れたのは実尾島だ。韓国映画ファンにはもう御馴染みであろう。まだ南北関係が非常に緊張していた時代、屈強な犯罪者を集めて北への特攻部隊へと鍛え上げた部隊が、首都ソウルの近くに存在していた・・・というのは映画公開時に大きな衝撃をくらったものだが、「特別捜査官」としての精神は映画に通じるものがあり、その精神をもう一度鍛えるべく(!)、足を踏み入れてみたかったわけだ!
ここも途中の入口で入場料2,000ウォンを払って入場。クルマでさらに進むと海の向こうに島が見えてくる、その島が実尾島だ。劇中にも登場するように、干潮時間になると実尾島と舞衣島は歩いて渡ることができ、我輩もクルマを降り、島と島の間に設けられた簡単な橋を渡ってついに実尾島への上陸に成功した。映画自体も実際にここにセットを組み立てて撮影したのだが、すべて実際に映画の中で爆破させてしまったため、現在はその痕跡を探す事は難しい。島の中央部には散策路が設けられており、そこから島を横断して西側へと出る事ができ、どこかで見た事がある景色だなぁと思って調べてみたところ、島の西側に映画に登場したセットがあったようだ。山道の散策路には途中、展望台などはなく島全体を見下ろせるような場所は存在しなかったが、かつて実際にあった事件の島に来た事自体が非常に感慨深く、過去の歴史、現在、そして未来はどうなるんだろうか、と1人、頭の中で様々な事を考えながら、島を後にした。
海の向こうに見えるのが実尾島。映画のパネルを使った島の説明もある。 |
さあ、ここを渡って実尾島へ上陸!干潮の時間だけ渡れるのだ。 |
いざ上陸したは良いが何もない。ここから散策路に入ってみよう! |
展望台はないが、散策路の先には映画を撮影した島の西海岸が目の前に。 |
ドラマ「天国の階段」、映画「実尾島」。2作品とも良い作品なので、もうご覧になった方も多いだろうが、まだの方は時間のある時にご覧いただき、いつの日か、舞台となった舞衣島・実尾島に足を運んでみてはどうだろうか(冬は寒いので勧めないが)。
念願の実尾島上陸を果たしたYoメン。特別捜査官としてますます極秘任務にまい進するとしよう!
事件が絶えないソウル。Yoメンが休むことはない。