我輩はコネスト特別捜査官Yoメン。
普段はブラインド越しにソウルの街を観察しているが、ひとたび事件が起きたり、気になることがあれば、どんな難題だろうが即座に現場に赴いて解決する。そんな我輩のことを人々はYoメンと呼ぶ。
さて諸君。我輩は先日、ソウルからの日帰り旅行先としても人気がある江華島(カンファド)(位置)へ行ってきた。江華島の住所は仁川(インチョン)市・江華郡といい、行政上は仁川市に所属しているのだが、仁川市街地中心部からはかなり離れてる上に、島がとても広く、島全体を1周しようものなら1日がかりになるほどだ。そこで我輩は今回、「歴史」、「食」、「北の大地」の3つにテーマを絞って江華島の平和と緊張を見届けてきたので、諸君にもその一部を届ける事にしよう!
草芝鎮(チョジジン) |
徳津鎮(トッチンジン) |
広城堡(クァンソンボ) |
甲串墩台(カッコットンデ)。 |
江華島の近代史といえば、19世紀後半に列強各国が朝鮮王朝に対して開国を迫った戦争の歴史である。そんな戦争の爪痕が現在もなお島の至る所に残っており、中でも島の東部にある草芝鎮(チョジジン)、徳津鎮(トッチンジン)、広城堡(クァンソンボ)、甲串墩台(カッコットンデ)は、見事なまでに復元・保存がなされており、観光名所であると同時に歴史教育の場所になっている。海に面して作られた城郭門や砲台の数々を見ながら、今はのどかな風景が広がっているこの地でも、かつて激しい砲撃戦が繰り広げられたのだなぁ、と江華島の歴史を感じずにはいられない。
そんな江華島の歴史の証人たる4箇所の史跡を見終えた頃には、そろそろ昼食の時間だ。「腹が減っては戦はできぬ」とは良く言ったものだが、せっかく江華島まで来たのだから、江華島の名物料理を食せねばなるまい。江華島と言えば、(季節にもよるが)海の幸ではウナギ、メフグ、サッパ、コノシロ、スズキ。農産物では高麗人参、赤カブ、ヨモギ、サツマイモなどが有名である。そんな中から数ある候補の中から何を食べようか?と思い巡らしてみたところ、甲串墩台の南に「うなぎ通り」がある事を思い出した。
「一味サンジャン」の外観。奥に新館がある。 |
うなぎ3人前。山盛りの1.5kg |
特製ダレに漬けて焼いて食べるも良し |
特製ダレには漬けず、焼いて塩をつけて食べるも良し。 |
ミンムルチャンオ(淡水うなぎ)の専門店が点在している「トリミうなぎ通り」(位置)に到着し、我々が入ったのは「一味サンジャン」だ。3人前(90,000ウォン)を注文したところ、なんと1.5kgものうなぎが山盛りになって運ばれてきた。こういう場合、よく器の底の方が膨らんでいて実は量が少なかった・・・という店もたまにはあるのだがここは違う。最後の最後までうなぎ三昧ができる。日本ではうなぎといえば蒲焼きが人気だが、韓国ではピリ辛の特製ダレにつけて炭火で真っ赤に焼いたら、サンチュやケンニッ(エゴマの葉)などに包んで食べるのが一般的だ。もちろん素焼きして塩味で頂くのも美味い。なお、うなぎは焼くのに時間がかかるので注意が必要だが、うなぎ以外にも運ばれてきた多数のおかずと共に、気がつけば1時間半ほどじっくりと味わって店を後にした。最初は少し値段が高いかな?とも思ったが、この値段でこの量を食べられる店は他にはなかなかあるまい。そのためか週末になれば順番待ちになるとのこと。間違いなく江華島でお薦めの一店舗だ。
江華平和展望台にやってきた。 |
対岸には北の大地 |
昼食後、我々一向は島を北上。今回の最終目的地、「江華平和展望台(カンファピョンファチョンマンデ)」へとやってきた。途中の道路で一度、身分証の提示などの検問を受けると「いよいよだな」という緊張感が身体を走る。展望台の対岸には「北の大地」が広がっているため警備も厳しくなっている。展望台の中には資料展示室もあり、パネルや北の紙幣などの展示もあるのだが、やはり何といっても一番人気は望遠鏡だ。コインを入れて望遠鏡を覗き込んでみると、「広報用」と言われる建物の数々がよく見える。実際に歩いている第一村人(!)こそ発見できなかったが、北の大地をこの目で確かに確認することができた。肉眼でもある程度は見ることはでき、特に「はげ山」なのは一瞬で分かるようになっている。ここは江華島の中で最北端にあり、緊張が走る最前線の様子を垣間見る貴重な体験をして、展望台を後にした。
今回、久々に江華島を訪れ、平和と緊張の空間を見守ってきた。諸君もまだ江華島を訪れた事がないならば、是非一度は訪れてみてはどうだろうか。我輩は今回は訪れなかったが、ユネスコ世界文化遺産に指定されている「コインドル」も観光客に人気のスポットだ。ただし、江華島は比較的、交通が不便なエリアなので、「江華島1日ツアー」や「江華島特産品と温泉を味わうツアー」、「オーダーツアー」などもご検討されたし!
江華島で勤務する兵士を見習いつつ、ソウルに戻ってもYoメンが休むことはない。
最後に年末の挨拶をあらかじめいたそう。諸君、メリークリスマス&今年もお世話になった。我輩とはまた来年会おうぞ!