我輩はコネスト特別捜査官Yoメン。
普段はブラインド越しにソウルの街を観察しているが、ひとたび事件が起きたり、気になることがあれば、どんな難題だろうが即座に現場に赴いて解決する。そんな我輩のことを人々はYoメンと呼ぶ。
さて諸君。はやいもので6月も終わり、もうすぐ7月。韓国では7月を迎えるのを楽しみにしている地方都市がある・・・それは金海(キメ)市だ。釜山(プサン)の西部に位置するベッドタウンで、釜山の空の玄関金海国際空港にもその名は使われている。7月中旬に金海軽電鉄(路線図)という新交通システムが開通する予定で、金海国際空港直結の駅から金海市の中心部へのアクセスはもちろんのこと、地下鉄3号線大渚(テチョ)駅(地図)、地下鉄2号線沙上(ササン)駅(地図)とも乗換ができる。そのため金海軽電鉄が開通したら空港や釜山市内各地から軽電鉄を利用して国内外の観光客がどっと訪れるのではないだろうか?と期待が寄せられている。我輩はつい先日、軽電鉄開通前に出動してきたので、ちらっと金海の観光について紹介してみることにしよう。
金海市といえば、かつて伽倻(カヤ)国(※正確には小国家群。現在の慶尚南道の各地域に国があり、日本では任那(みまな)の名称でも知られる。)が存在したとされる都市だ。伽倻はどこよりも発達した鉄器文化が有名で、6世紀に新羅(シルラ)に滅ぼされるまでは、中国や日本とも鉄器を中心に海上貿易が盛んに行われていたようである。そんな「鉄の王国・伽倻」のいろはを学ぶなら、やはり「国立金海博物館」を置いてほかにない。博物館内には金海市内で多数出土した先史時代の土器から青銅器、鉄器が展示され、伽倻の様々な歴史を学べるので、まずは「国立金海博物館」から観光をスタートしてみても良いだろう。開通予定の「博物館駅(地図)」から徒歩約10分と駅から近いのも魅力だ。
博物館の隣の散策路を歩いていくと、「亀旨峰(クジボン)」という支石墓にたどりつく。これはただの石ではなく、伽倻の伝説の初代王・金首露(キム・スロ)王が、この石の上で天から降りてきた金の卵から生まれたと伝えられる地。その後、金首露がどうやって国を築いていったのかは人気俳優チソンが主役をつとめたドラマ『金首露』で、もう既にご存知の方も多いことだろう。ドラマの影響で金首露ゆかりの地を訪ねてみたい、というファンも増えているようだ。また、インドからやってきたという王妃(ドラマではソ・ジヘが演じる)の墓「首露王妃陵(スロワンビルン)」は「亀旨峰」の隣のエリアにあり徒歩でも移動可能だ。
ドラマの主人公、金首露の墓はその名の通り「首露王陵駅(地図)」から徒歩約10分の「首露王陵(スロワンヌン)」で、敷地内は広すぎず、30分程度あれば一回りすることができ、小さな展示館もあるので見ごたえがある。また調べてみると、韓国の本貫(ポングァン)で人口第一位の金海金氏(キメキムシ)の始祖が、この伝説的な王・金首露とされていることが分かったが、なかなか興味深い事実である。
金海市 : 「国立金海博物館」~「首露王陵」周辺MAP
これまではクルマがないとアクセスが大変だったが、軽電鉄が開通することで釜山からの日帰り旅行先として注目されるようになった金海市。また今年の冬にはドラマ『金首露』の撮影セット場が「伽耶歴史テーマパーク(地図)」としてオープンされる予定で、歴史ファン、ドラマファン、チソンファン、韓国本貫マニアはたまらない観光地となることだろう。古代、伽倻の歴史の息吹を感じに、釜山訪問の際、是非訪れてみてはいかがだろうか。
金海軽電鉄の開通はもともと7月初めに予定されていたが諸事情により7月中旬へと延期となった。韓国の鉄道事情では開通時期が延期するのがもはや日常茶飯事となりつつあるが、今回は無事に中旬には開通し、金海市にも観光客が増えることを祈る。
事件が絶えない韓国、Yoメンが休むことはない。