4年前、この編集部日記で「ウマ菓子発見!」と題して「Market O REAL BROWNIE」を紹介したことがあった。
当時はまだ韓国お菓子業界にデビューしたばかりのフレッシュな新人であったこのブラウニーちゃん、
あれよあれよという間に日本人観光客の間でその美味しさが話題になり、4年経った今では日本のコンビニでも売っているくらいの
スターダムにのし上ってしまった。
まるで、売れない頃から応援していたインディーズバンドやアイドルが国民的スターになった時のファン心理のような、嬉しさと一抹の寂しさが入り混じった心境である。
そして最近、私はブラウニーちゃんに続く、まだ日本の方にはそれほど知られていないウマ菓子をまたも発見してしまった。
そこで今回は、そんなウマ菓子界の新人とその魅力を、コネともの皆さんに知って頂くために、「ウマ菓子発見!その2」と題して紹介しようと思う。
「新人」とは言うものの、紹介するお菓子のジャンルはすでに日本の皆様にも代表的な韓国のばらまき菓子としてそれなりに知られているであろう、「情」のパッケージでお馴染み、「チョコパイ」なのである。
しかしオリオン製菓やロッテのチョコパイなどのメジャーどころとは違い、今回紹介するチョコパイ所属の
プロダクション(という名のお菓子屋さん)は、ビビンバや韓屋村で知られる全州(チョンジュ)という地方にある街の製菓店。
とはいえ、このプロダクションである「豊年製菓(プンニョンチェグァ)」は、なんと1951年創業の超老舗で、日本に比べお店が千変万化する韓国でこれだけの年数を経て未だに残っているお店というのはかなり珍しい。
こうした出自を考えると、このチョコパイ、さながら地方の老舗ライブハウスが数十年にわたって築き上げてきたノウハウを集約させてプロデュースし、こつこつと毎週末のステージをこなしながら、日本デビューを夢見るインディーズバンドやアイドルのようである。
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こちらがウマ菓子界の新人、チョコパイです。
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街の製菓店である「豊年製菓店」は1951年創業の老舗。
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私とこのチョコパイの出会いは、全州出身のコネストスタッフが実家に帰った際にお土産で買って来てくれたのがきっかけであった。
前述したオリオン製菓やロッテの、チョコレートコーティングされたこれまでのチョコパイのイメージとはかけ離れたそのビジュアルや、朴訥としたビニール包装のレトロ感から、正直これと言った期待もせずに口に運んだのだが、その美味しさは私の心の琴線に見事に触れた。
固すぎずしっとりしすぎずの歯ごたえと、わずかに感じられる堅果類の味が香ばしいクッキー部分、
甘すぎない四方のチョコレート部分、そしてどこか懐かしさを感じさせる素朴な味のクリームと、軽い酸味を帯びたイチゴジャムが
織り成す味のハーモニー。
・・・などと形容すると少し大げさではあるが意外な美味しさに驚かされたのは事実である。
1つ1600ウォン(2013年1月現在)というコストパフォーマンスのよさも好感が持てる。
韓国内での評判を調べてみると、「全州・豊年製菓のチョコパイ」は知る人ぞ知るウマ菓子でありながら、お店の一番の人気商品として様々なブログで紹介されており、「このチョコパイを食べてしまうと、メジャー製菓メーカーのチョコパイはもう食べられない」などという声もあった。
全州に行かないと食べられないのが少しハードルが高いが、是非コネともの皆様も全州に行かれる際には、豊年製菓と人気商品のチョコパイを食してみて頂きたい。
韓国のチョコパイ観が、きっと変わるはずである。
⇒豊年製菓の位置
【お知らせ】
今回で「韓国キンガミンガ記」は連載終了となります。長い間ご愛読、誠にありがとうございました。
編集部:tjbang