韓国旅行口コミ掲示板「コネストコミュニティ」
昔からサービスエリアの雰囲気が好きだった。どこか一つの目的地に向かう人たち、それぞれ行き先はバラバラかもしれないその人たちが日常とは少しだけ違う、ウキウキした旅気分を抱えて集まっている場所。
似たような場所に空港があるけれど、特に国際空港はこれから海外に行くという大イベントを控えた人の「ウキウキ旅気分度」が高すぎ、またそんな「良い旅夢気分な人」を見送る側の人たちのちょっとした寂しさや悲しみが入り混じってしまうだけ、やっぱり高速道路の途中途中にあるサービスエリア(韓国では『休憩所』)の方が、「日常とは少しだけ違う」気楽な感じがして好きなのである。
駐車場に車を停めて降りると、これまで走り続けてきた高速道路の単調さとは対照的に、ちょっとしたお祭り気分が味わえるのがサービスエリアの醍醐味。
可も不可もない、良い意味でイイ加減な味のご飯や、日常コンビニなどではみかけないおやつを、目移りしながら選ぶ楽しさは、日韓どちらのサービスエリアにも共通である。ただ、日韓では味わえるメニューが違う。さらそこに韓国のサービスエリアには必ずと言っていいほどあるポンチャック(テープ・CD)販売店や自動車用品を始めとした様々な商品を扱うお店(何屋?)が加わった、日常からちょっとだけ離れたこのプチ祝祭空間が、さほど遠距離移動でもない韓国のオリジナル旅情を見事にかき立ててくれるのである。
今回私のそんなプチトリップの旅情をかき立ててくれたのは、「徳坪(トッピョン)自然休憩所」というサービスエリアである(位置)。これまでにいくつかの韓国のサービスエリアを見てきた私であるが、この徳坪サービスエリアの規模には驚かされた。韓、中、洋の多様な食事メニュー、さらにカフェまでもが入った飲食施設は、食堂というよりもフードコートと呼ぶのが似つかわしく、登山服を始めとした各種韓国ブランドが軒を連ねるショッピングモールまでもが準備されている。人口の池が流れる屋外席なども用意されており、その施設ひとつひとつはまさに「圧巻」の一言だった。
旅路を急ぐために長居はできなかったのであるが、後から調べてみるとこの徳坪自然休憩所、「自然」の名前を冠しているだけありハーブ庭園や散策路、犬とふれあえるわんわん広場のようなものまであるそうである。
’00年代から大規模なリニューアルに入り、昨年そのリニューアルが完了したため、韓国の最新型サービスエリアを楽しみながら、売っているものなどから韓国ならではの旅情を味わえるなかなかオツな観光スポットとも言えるだろう。
最後に韓国の休憩所で私が旅情を感じるサービスエリアフードを紹介したい。「보리떡(ポリトッ)」という、直訳すれば麦で作った餅であるが、日本では「蒸しパン」にあたるのだと思う。もちもちとした食感と素朴な味のこのポリトッ、コーヒー牛乳と一緒に食べると最高である。なぜかサービスエリア以外の場所では滅多にお目にかからない。日本でももちろん食べられると思うのだが、韓国のサービスエリアでその美味しさを知ったために、私の中では自動的に「韓国の休憩所の味」として記憶されている食べ物である。
「少しだけの非日常」を味わえるサービスエリアを後にし、買いだめしたこのポリトッを車中で食べることで、なぜか私は「ああ自分は今韓国にいるのだなあ」と韓国在住者としての韓国旅情をかみしめるのである。
編集部:tjbang