いきなりのファンレターで大変失礼します。歌謡祭、映画祭の度にプレゼンターとして登場される先生のお姿、いつも拝見させて頂いております。本業のファッションデザイナーとしても相変わらずのご活躍ぶり、アンドレキム先生ファンとしては大変喜ばしい限りです。
もともと、私が先生に出会ったのは韓国に留学に来て間もない頃、TVで中継されていた何かの映画祭の授賞式だったと思います。柔道着を想起させる白装束、キョンシーも”顔”負けの真っ白な顔色、なぜか立体感のないメタリックな黒髪、そんな容貌とは裏腹にところどころに英語が混じる言葉遣いと、知性を感じさせるジェントルな話し方・・・。
その強烈な個性とキャラクターの前では、他の俳優・女優たちなんか皆霞んで見えて、プレゼンターであるはずの先生に、私が心の中で「大賞はあなた!」と叫んだものでした。
この衝撃的な出会いの後、得体の知れないこのおっさんがどんな人かをすぐに調べましたが、まさか先生が世界的にも有名なファッションデザイナーだなんて、想像さえできませんでした。
というのは先生があの柔道着を彷彿とさせる、真っ白なダサ・・・いや個性溢れる服を常に変わらずに着こなしていらっしゃるからです。しかしながら、先生のそのスタイルが凡人には理解できない、世界的なデザイナーだからこその格好だというのは、先生の経歴を拝見して納得しました。
1962年のブランド設立以来、イタリア大統領文化功労勲章、フランス政府文化芸術勲章、MBC名誉の殿堂入り、韓国服飾学会賞など受賞歴も多々、ファッションショーには韓流スターを含めた数々の有名芸能人が参加し、先生のショーに出ることが一流芸能人のステータスになっているという話を聞いたときには、びっくりしたものです。
フォーマルでもなく、カジュアルでもない、戦闘服のようでもあるけど、タキシードにも見える、そんな禅問答のようなあの服、四季に合わせて30着ずつ、一年で120着ほどお持ちだそうですね。
オバケのQ太郎でさえ5着しか着替えがないのに、先生はその24倍、オバケをも超えた存在であるわけで、やはり先生はタダモノではないとつくづく思いました。
そんな先生ですが、韓国の人たちにとても愛されているということを私は知っています。歌謡祭、映画祭のたびに出てくる先生を見て、韓国人たちは「またアンドレキムだよ〜!」と閉口気味に語りますが、そんな時の彼らは言葉とは裏腹にきまって笑顔なのです。
先生のバケモ・・・いや漫画からそのまま飛び出してきたキャラクターのようなスタイルは、容姿端麗、流行の似たようなドレスやスーツに身を包む、ある意味没個性な俳優、女優しかいない場にあって、スターが本来持つべきファンタジー性、一言で言えば夢、というものを我々見るものに与えてくれるわけです。
プリンセステンコーが欧米でアニメ化され大ヒットしたかのように、韓国もアンドレキム先生のアニメ化を早急に検討するべきだと思います。
噂によると先生はよく明洞や仁寺洞の街にふらりと降り立つことがあるとのこと、目撃情報も私の周りで多数あります。いつか私も先生と街角で遭遇し、一緒に写真を撮ることができたらと思っています。
私の中の韓流スターは、ヨン様でもビョン様でもなく、アン様(ドレ様?) なのですから。
それでは実際に会えるその日を夢見て。健康にお過ごし下さい
敬具
編集部:tjbang