皆さんもご存知の通り旨いもの天国の韓国。tjbangもあれやこれやとついつい食べ過ぎ飲み過ぎて、次の日にお腹を壊すことがよくあります。で、たいていそんな時には常備薬として日本から持って来ていた、腹痛にはおなじみ、ラッパのマークの正露丸を服用していたわけです。がしかし先日ついにストックが切れてしまい、今までtjbangの荒れたお腹を優しくケアしてくれた正露丸がないことに、一抹の不安と寂しさ(?)を感じていたのです(註:正露丸中毒者ではありません、念のため)。
そんなある日、韓国人の友達がお腹の調子が悪いと言っておもむろに取り出した薬を見て、びっくり!なんだか見覚えのある黒いビンにオレンジのふた、黄色のラベル…もしや!?
tjbang:あの〜それってさ・・・ひょっとして・・・?
友人:あ?これ、チョンノファン。匂いはきついけど効くんだよねぇ。
やはり正露丸!うそ!どうして?日本に帰らなければ会えないと思ってた彼がなぜここに・・?と、思いがけない再会にドラマのヒロインのように叫んでしまったわけです(心の中で)。
でも良く見ると彼(註:正露丸のことです)、ついこの間まで、アタシ(註:tjbangのことです)のお腹を優しくケアしてくれていたあのときと、どこかが少しだけ違うんです。よく見ると彼のトレードマークのあのラッパのマーク、それが見たことのない星のマークになっていたり、ところどころにハングルが刻み込まれたりしていて、軽くコリアナイズされてるって言うんでしょうか?ちょっと見ない間にずいぶん変わっちゃったなぁ、中身は全然別の薬かも…と、いやな考えが頭をよぎったりもしたのですが、実際に手にとってみると、あの時と変わらない彼(註:正露丸のことです) だけのあの独特のニオイ!
ああやっぱり彼は彼(註:しつこいようですが正露丸のことです) のままだったんだ!見た目が変わっても中身が変わらないならそれでいい!これからもアタシのお腹を優しくケアしてね!と感動の再会を果たしたわけです。
失礼しました。C調メロドラマのヒロイン風にお伝えしてみましたが、要は韓国にも正露丸があったんですね。
でも箱からビン、ついには中身や名前までまったく日本と同じこの正露丸(チョンノファン) 、どうして韓国にもあるのでしょう?
細かな説明は省きますが、調べてみた結果、もともと正露丸は20世紀初頭、戦地で下痢や腹痛に悩まされる日本の兵隊たちのために帝國陸軍によって開発されたそうです。ご存知の方も多いかもしれませんが、正露丸という名称は当時の俗称である「征露丸」から由来しています。
1910年の日韓併合により日本が韓国を植民地統治していた時代に、すでにこの正露丸は韓国側にも入ってきており、韓国の人々の間でもその効能は良く知られていたようです。
それから時は流れ、1972年に韓国で東星製薬という製薬会社が日本から製造技術を導入して販売を開始します。本来ならここで名前やパッケージなど変える必要があるのですが、正露丸においてはもともとの開発者が帝國陸軍の軍医であるため、特定の企業に商標登録が認められていませんでした。つまり一般的な整腸剤の名前として「正露丸」があり、そのパッケージデザインなどに関しても自由に使っても良いということになっていたんです。(過去には商標登録されていた時代もあります)
これにより、韓国でも昔からなじみのある「正露丸(チョンノファン)」と言う名前がつけられ、デザインも新たなものを考えるのが面倒だったのか(?)日本のものとそっくりにしたようです。
ちなみに友人によれば、日本と同じように韓国でも「整腸剤って言ったら正露丸(チョンノファン)」という認識が一般的にあるそうですよ。
日本的な視点で対象を覗くことで、その”差異”を楽しめるのが異文化の面白さですが、今回のチョンノファンのように、差異の中に全く同じもの、風景、感覚、をみつけられた時の面白さもあるのが、日本から地理的に近い韓国がほかの外国より面白い点かもなあと思いました。
というわけで正露丸…いや、チョンノファンとの再会を果たし、韓国にいる間にお腹を痛めてもど〜んとこい!な気分になったtjbangでした。
編集部:tjbang