先日、大鐘賞(テジョンサン)映画祭の授賞式の取材に行ってきました。受賞のゆくえよりも実際気になるのは、スターたちの姿・・・。浮き足たって会場に訪れたことは言うまでもありません。
この日の主役はやはり、ウォンビン。もういい加減「アジョシ」は飽きたよ、また子役と一緒かよとちょっと思いながらも、やっぱり圧倒的なオーラに引きつけられました。
一つ一つの動作がスマートで、レッドカーペットをゆっくり歩きながら、時折ファンに向ける穏やかな笑顔・・・。
なんか、吸い込まれました。
「あの洋服はないだろ」と横にいたとある韓国人男性記者がつぶやいていましたが、あんなクラシカルな装いが似合うのもウォンビンだから。そういえば釜山国際映画祭のレッドカーペットでも、ビンテージ風のミリタリージャケットで登場して話題になっていましたね。
マッチョさが際立つ俳優が多い中で、独特のセンスと雰囲気があるウォンビンって素敵。
柔らかくて、どこかとらえどころのない感じが今回着ていたふわふわのブラウスみたい。
女優陣はチョン・ドヨン、キム・ユンジン、ソ・ヨンヒのアラフォー&アラサー女優がとにかく美しかったです。
大人の女性の色気、それがどういうものか分かったような気がしました・・・。一言で言うなら艶?
特にチョン・ドヨンさん。小柄だけど、体全体がキュッとひきしまっていて、妖艶なんだけど、可愛らしいの。となりの記者が「ドヨンさん!!!」と叫んで、こちらを振り向いたときの微笑みが忘れられません!「君は僕の運命」でファン・ジョンミン扮する田舎の青年が一目ボレしたのもよく分かるよ!
チョン・ドヨンさんと言えばいつも大胆なドレスが話題になりますが、今回は意外とおとなしめ。だけど、髪型やメイクも含めてダントツでセンスが光っていました。
今年、最優秀作品賞は、カンヌでも脚本賞に輝いた「詩」が選ばれましたね。アクションものやスリラーなど娯楽性重視の映画が多かっただけに、この映画の存在は大きかったです!
「詩」は、娘が預けた孫と暮らす生活保護者の60代女性・ミジャが、生まれて初めて詩に触れ、詩を書いていく過程が描かれています。
詩を書くために美しいものをみようと努力するのですが、実際のミジャの日常は、孫が残酷な暴行事件を起こしたり、それをもみ消そうとする大人たちがいたり、自分自身も病におかされたりと美しさとはかけ離れた世界・・・。
叙情的ながらも、韓国の社会背景が織りこめられた良い映画だったと思います。
苦痛に満ちた日常でも、美しいものを見ようとするミジャの姿には感じるものが・・・。
そしてミジャの純粋さ、また、それとは対照的な社会の暗さみたいなもの、この両方が悲しくてせつない・・・。
観終わったあとはほどよい徒労感、長い時間映画の余韻に浸っていました。
今もさまざまなシーンや言葉が心に残っています。
やっぱり映画が好きです。