もう4年前になるが、生活韓屋が立ち並ぶ、景福宮西側の
西村(ソチョン)エリアで「
ソウル路地裏案内
」という記事を書いたことがあった。
ちょっと前、久々に奥の方まで歩いたら、今風なお店がえらく増えていて、驚いた。
記憶していた風景の変化に、再びわくわくしたのだった。
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当時、大通りの紫霞門(ジャハムン)キルを挟んで東側、通義洞付近にはすでにカフェが集まっており、「カフェ通り」として紹介したのだが、今回目を見張ったのは西側。通仁(トンイン)市場のある楼下洞、通仁洞、楼上洞の側だ。
青色の「ウリ銀行」を始まりに通仁市場のほうに斜めにのびる細い路地。さらに「鍾路区立パク・ノス美術館」まで、地図上では1本に線がひける一帯と、その周辺だ。
いかにも地元で愛されてきた感じの美容室やクリーニング店などに交じり、洒落たカフェや雑貨店、食堂が並ぶ。ちょうど飛び石のように、旧・新・旧…といった具合である。
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どこか懐かしい通りに新旧ショップが並ぶ
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韓屋を改装したレストラン
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洋服屋のお隣は精米所
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レトロなワンピースが人気の
「Kim’s Boutique」運営のカフェ
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雑貨店を覗いてみたところ…
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かつて記事に登場してくれたコラムニスト
“カッソルタン”さんのお店でした
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特にパク・ノス美術館の周辺は新しいお店がかたまっているエリア。週末ともなれば、人気の食堂は行列待ちになるほどで、「訪れる街」として大分定着してきた様子がうかがえた。
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カジュアルなスペイン食堂「Y SHOP」
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パエリアやイワシのフリットが美味しい
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丸ごとイカ入りトッポッキが有名な
「南道粉食」
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ところで西村にはどうやら、数年前から「新しい名前」がついていたようだ。
2011年に鍾路区庁が決めた「世宗マウル」だ。いわずとしれた世宗大王にちなんで、街のイメージアップにつなげようという狙いがあるそうで、街を歩いていても垂れ幕などをみかけた。
一方で数年前から呼ばれていた「西村」を支持する人たちも少なくないようで(qingも西村のほうが良いと思う)、現在はいずれも完全に定着しているということはない模様。
6月4日には地方議会選挙があるが、その結果によっては、どちらかに軍配があがったり、あるいは全く別の名前になっていたり…ということになるかも。
そんなことを考えながら街をぐるぐるしていると、相変わらず生活感あふれる韓屋があって、マウルバスが細い路地を飛ばしていて、ハルモニたちが夕涼みしていて、ああ良かったなと思った。
こういう暮らしの感じというか、人々の気配が大事にされて、無理やり変わってしまわないのであれば、まあ名前はどちらになっても、多分大丈夫だという気にもさせられるのだ。
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人のように街も呼吸し、ゆるやかに変化していくのだと思う。
「新しく整った」街も、「ずっと伝統を守りつづける」ところもいいけれど、色々な思いだとか欲望が揉みあわさった「つぎはぎ感」のある感じ(でも不思議とバランスがたもたれている)が、好きだ。
西村もそうだが、ソウルはそんな場所が多いから、時々そのあんばいを確かめにいきたくなる。
今回でqingの連載担当は終わりです。
つぎはぎというか、だらりと脈絡のない内容でしたが、これまでお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
よろしければ、またどこかの機会でお会いできたらと、思っています。