韓国で好きな食べ物はと聞かれ、「チィポ」と答えていた時期があった。
質問をした韓国人の反応は大抵失笑したり首をかしげたりだったが(それ以前に発音が難しく、3~4回聞きかえされることが多かった)、仕方がない、はまっていたのだから。
チィポとは「チィチ(쥐치)=カワハギ」「ポ(포)=干したもの」で、すなわちカワハギの干物だ。薄く丸い形がトレードマークで、よくよく見ると薄切りの身が何枚も重なって作られている。
日本の「魚のみりん干し」に近いだろうか、表面には甘辛の味がついており、火にあぶると香ばしい匂いとあいまってたまらない。ほどよい弾力があり、かみしめるほどに味わいがじわりとでてくる。そうして気づけば手がのびてしまう、魔性の魅力をもっているのだ。
長年韓国人に愛されてきたチィポは、リーズナブルなお酒のおつまみというイメージ。韓国のホプ(ビアホールスタイルの居酒屋)には「マルンアンジュ(乾きもの)」というメニューがあるが、チィポはピーナツやビーフジャーキーに並んで存在感を示している。カワハギはカルシウムやビタミンB1等の栄養素にも期待できるため、子どものおやつとしても定番だ。
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丸くてかわいい |
きつね色にあぶって噛みちぎる |
「乾きもの」メニューの定番 |
というわけで、韓国ではあちこちでチィポに接することができる。ざっとご紹介するので、参考にしてほしい。
│【食】ホップで
昔ながらの居酒屋メニューなので、店もお洒落で流行ってそうなところをあえてハズすと、遭遇できる確率が高い。スナックやカラオケ(こちらも地元密着型のところ)でも見かける。メニューの後ろのほうのページにひっそりのっている。
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地元感の高い店が狙い目 |
│【食】乾きもの専用居酒屋で
ソウル市内で最近よく見かける、乾きもの専用の居酒屋。チィポだけでなく、ノガリ(スケトウダラの幼魚の干物)やハンチ(イカの一種の干物)といった乾きものを1つ2,000~5,000ウォン程度とリーズナブルに注文できる。「ノガリ 1,000ウォン」とか謳い文句がそのまま店名になっている場合が多い。
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最近増えている?乾きもの専門店 |
ビールとの相性は抜群 |
│【買】コンビニ・マートで
旅行者が簡単に手に入れられるのがコンビニやマート。コンビニはお菓子の棚の奥のおつまみコーナーに、マートでは水産物加工品のコーナーか酒のコーナーに一緒にあることが多い。焼いたりせずにそのまま食べられるのが◎。1袋3,000~4,000ウォン程度。
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おつまみコーナーに 乾きものが充実 |
すぐ食べられるチィポ これはピリ辛味 |
│【買】中部市場で
乙支路エリアにある
中部市場は、ソウルを代表する食品市場。ナッツや魚の干物がとても充実しており、乾きもの好きにはちょっとした宝の山。ここにはチィポ専門店があり、産地、天然/養殖など多様なランクが揃う。名産地・麗水の1枚4,000ウォンという「プレミアムチィポ」も。
│【買】チィポトラックで
夜になるとどこからともなく街角に現れる、チィポ販売トラック。なぜか冬になると出没する気がする。20枚5,000ウォンくらいの格安価格。荷台にチィポばかりがぎっしりと整列しているのを見たとき、韓国におけるチィポの「愛され度」を知った気がした。
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夜のチィポトラック |
チィポがぎっしり |
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このほかおやつ屋台にも時折あったり、チィポを割いてコチュジャンやニンニクなどのタレで炒めたおかずを食堂で見かけたりもする。
日本の人でも食べやすい食材だと思うので、まだの人は一度お試しを。