新しい年が明けて10日。日本のお正月気分は味わえなかったけれど今年も素敵な年になりますよう、よろしくお願いいたします。
先週末、「半世紀前の“あの街”の姿が見られる」展示会があると聞いて行ってきた。徳寿宮(トクスグン)内にあり、近代様式の建築が美しい徳寿宮美術館で開催中の「イム・ウンシク写真展─記録の芸術、芸術の記録」だ。
「韓国リアリズム写真の先駆者」といわれるイム・ウンシク(林應植・1912~2001)は、韓国の近現代を代表する写真作家だ。今回の企画は作家の生誕100周年を記念した特別回顧展。1930年代の初期作品から代表作、遺品に至るまで、4つのセクション・260点あまりで構成されている。
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「古宮建築」「文化人」など幅広いジャンルの写真を撮ってきたイム・ウンシクだが、数々の展示を尻目にqingが見入ってしまったのが第3展示「明洞(ミョンドン)、明洞の人々」だ。
明洞はいわずとしれた観光中心地。実は、そこに半世紀前もから魅了されていたのがイム・ウンシクだ。1950年に始まり亡くなる直前の2001年まで。彼は50年あまり明洞の通りに立ち、シャッターを押し続けてきた。作家のライフワークの集大成ともいえるこのセクションでは、モノクロームの明洞の街、そしてそこに集う人々が並ぶ。遺族の協力で初めて公の場にのぼる作品も含まれており、話題を集めている。
展示を見て驚いた。作品に表れる「明洞」が現在の姿とどれだけ異なるか期待していたのだが、それがあまりに想像以上だったからだ。
戦争で破壊された街の様子、米軍、馬の通る道、露天商…。1954年に撮影された、明洞入口から明洞聖堂までの通りは、コスメ店がひしめく今の街からはおよそかけ離れた世界だった。
一方で百貨店が立ち並び繁華街として賑わう姿は、半世紀前から健在。当時の道ゆく人の服装を集めた「明洞のファッション」フォトなるコーナーには、やられた!と思わずにやけてしまった。
明るさの中に陰鬱な時代の影が写された明洞の通り、そして人々。作家に「撮って、撮って、また撮っても際限なく撮りたくなる」といわしめた街の魔力を、作品を知ることができた展示だった。
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今回の企画展ポスターとなった代表作「求職」も、明洞で撮影されたそう |
コネストもできなかった、50年前の「ストリートファッション」は必見! |
半世紀前の明洞の姿は… |
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他にも、白いチョゴリの女性たち、田舎の風景、「3日間は呆然とし、撮影ができなかった」という朝鮮戦争の従軍写真など、見ごたえのある作品がたっぷり。昨年の12月21日から始まっており、2月12日まで。週末(金~日)は21時まで開館しているので(入場は1時間前まで)、ゆっくり見るなら朝か夜から狙い目だ。チケットは徳寿宮と共通で5,000ウォン。こぢんまりとした徳寿宮の散策もあわせて、ぜひ訪れてみてほしい。
編集部:qing