吹く風に、いよいよ季節の移りかわりを感じた週末。涼しい秋の夜にぴったりのイベントが行なわれた。ソウルを代表する古宮、景福宮(キョンボックン)。その中の池にたつ楼閣・慶会楼(キョンフェル)で開かれた夜間特別観覧「慶会楼 宴享(ヨニャン)」だ。
国宝224号である慶会楼は、国の祝事に宴をおこなった場所。「宴享=国賓を接待する宴」の名のとおり、趣向をこらした伝統音楽や宮中舞踊により幻想的な「王の宴」が再現された。文化財庁50周年記念で開かれたこの日のイベントは完全招待制だったが、コネスト会員50組100名も抽選にて
無料招待により参加した。
総勢500名あまりの人々が、楼内、また浮島や船上までを舞台にした公演を池のほとりから観覧。鮮やかな衣装に身を包んだ演じ手の躍動が、光を灯した慶会楼とともに水面に映えた。3面・5つの太鼓を使ったオゴムでは大きな拍手が沸きあがり、パンソリの名場面では客席から合いの手が入るなど、すばらしい演技に観客も応えながら60分の雅の世界を愉しんだ。
当に沢山の方々にご関心・ご応募をいただいた今回の企画。この場を借りてお礼を申し上げたい。また惜しくも機会を得られなかった方のためにも、行事は改めてコネストでレポートをする予定なので、当日の様子を感じていただけたら幸いだ。
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さて今回の行事のように、これからの季節には、旅行客にも魅力的な文化イベントが控えている。いくつか簡単にご紹介したい。
近いところでは、朝鮮王朝の婚礼「嘉礼(ガレ)」再現行事が今週末24日(土)。天気予報どおりいけば、秋晴れの空に映える華やかな行列に出会えるだろう。
10月8日~10日には、昌徳宮夜間特別観覧「月灯り紀行」が開催。大変ご好評につきすでに完売となってしまったが、行かれる方は月夜に照らされた王宮を覗きみる特別な夜をぜひお楽しみいただきたい。
芸術方面では、5月と10月に2週間だけ門を開く「澗松美術館」。2011年秋季は10月16~30日の開館予定。前回・前々回は動植物が展示の中心だったが、今回は「通俗と人物」がテーマ。趣の違った作品が並びそうで楽しみにしている。
短く、それだけに美しい韓国の秋。心静かに伝統や文化に触れる旅もぜひおすすめだ。