アンニョンハセヨ!コッコです。
先週末は今年で第4回目を迎える「在外同胞映画祭」に初めて行ってきました。今年のテーマは「朝鮮・高麗・コレア・コリア―疎通(コミュニケーション)する」。移住民として生きてきた在外コリアンたちにフォーカスを当てた10カ国・約30作品が、明洞の独立映画専用館「インディスペース」で上映されました。
その日観たのは『夜を賭けて』(2003年)という日韓合作映画。在日コリアンの作家、梁石日(ヤン・ソギル)氏の同名小説を原作に、知る人ぞ知るアングラ演劇集団「新宿梁山泊」代表の金守珍(キム・スジン)がメガホンをとった作品です。コッコはかつて人生の先輩でもあり、新宿梁山泊マニアの知人から強力に勧められ、数年前に小説は読んだことがあります。戦後10年あまり経過した大阪を舞台に、在日コリアンの登場人物たちが、激しく熱く、苦しみ悲しみながらも力強く生きる姿に当時かなりの衝撃と感動を覚え、ぜひ映画も観てみたいと思っていました。が、日本での上映はとっくの前に終了。せっかくなら劇場で観られないかなーとずっと探していたので、今回の映画祭は思ってもない機会だったのです。
長編小説だけにどうやって描かれるのか楽しみでしたが、期待は裏切られませんでした!全羅北道は群山(グンサン)に作り上げたというバラック集落、筏が行き来する川…。実在してもおかしくないような大規模で本格的なセットも素晴らしかったですが、やはり悲哀さえも笑いに変えて生きていく劇中の人物たちのたくましさと、そのユーモア感覚が画面いっぱいにあふれていて、久々に生き生きとした勢いのある映画を見たな〜と感じました。字幕も韓国語・英語・日本語と用意されていて、館内では3カ国語の会話が飛び交っていたのもなかなか興味深い光景でした。
日本やロシア、そして欧米、南米など全世界に約300万人と言われる在外コリアン。時代に翻弄されながらもそれぞれの土地でそれぞれの「生」を送ってきた彼らを描いた映画を通じ、理解を深めようという「在外同胞映画祭」。外国人100万人時代を迎えた韓国で行われる、とても意義ある映画祭のひとつだと思いますが、実際のところは思ったより盛り上がりに欠けていたのが残念といえば残念。『夜を賭けて』もアンコール上映だったにもかかわらず、座席は3分の1しか埋まっていませんでした。
主催者側の広報不足か、はたまた関心の少なさの表れなのか…。両者の複合的な結果かもしれませんが、非常に身近なイシューを主題としているだけに、個人的には今後の成長にぜひとも期待!したいところです。
※映画祭といえば、明日からはいよいよ「忠武路国際映画祭」がスタート、そして来る10月には「釜山国際映画祭」が待ち構えています。今年は韓国で「映画の秋」を満喫してみるのも良いですね!
編集部:コッコ