韓国におりますと「日本人って英語が下手ね」としばしば言われます。反対に「韓国人の英語の発音ったらさ」と笑う日本人がおります。
コングリッシュ
とジャパニーズイングリッシュ、極東アジアの英語コンプレックス同士による果て無きどんぐりの背比べ対決です。
実際に韓国にお越しになった際に、英語でコミュニケーションをしようとすると「あれ?通じない?」という場面があったかと思います。また、私が韓国語を覚えたての頃、韓国語の単語がわからないので「えい!英語じゃ」と発してみたところ「は?え?」ということがありました。
これは英語力の問題ではなく、まさしく
「コングリッシュVSジャパニーズイングリッシュ」問題
だったのです。
おもしろいのは、どちらも勝手に英語風の造語を生み出していたり、仲良く同じ間違いをしていたり、まれにどちらかは正しく使っていたり、様々であることです。
そんな訳で、終わりなき「コングリッシュVSジャパニーズイングリッシュ」問題の一部を冷やかしてみたいと思います。
1.ザ・和製英語。韓国では通じませんねん。
英語風ではなく、韓国語が使われることが多い単語を集めてみました。韓国語の漢字語が存在するものは一緒に紹介しています。
(1)ガードマン:경비원(キョンビウォン 警備員),경비아저씨(キョンビアジョシ 警備のおじさん)
韓国語では、マンションやビルの管理室にいる方のイメージ。韓国のコンサート会場でよく見かける黒服のお兄さんたちは보안요원(ポアンヨウォン 保安要員)というのがぴったり。
(2)ガソリンスタンド:주유소(チュユソ 注油所)
韓国ではガソリンというより油(キルム 기름)というのが一般的で、ガソリン代は油代(キルムカッ기름값)と言います。
(3)サービスエリア:휴게소(ヒュゲソ 休憩所)
たぶん、韓国で「サービスエリア」と言ってもまったく通じません。最近はサービスエリアグルメ(ヒュゲソマッチッ 휴게소 맛집)が話題です。
(4)サラリーマン:직장인(チッチャンイン 職場人),회사원(フェサウォン 会社員)
人間関係を含む自分が働く現場を指す時は직장(チッチャン 職場)で、規模や組織など自分が所属している場を指す時は회사(フェサ 会社)がよく使われるようです。
(5)ジーンズ:청바지(チョンバジ)
바지(バジ)はズボンという意味。청(チョン 青)は青いので青いズボン!素朴でまっすぐですね~。
(6)スーパー:마트(マトゥ)
スーパーという表現は韓国語
にも存在し、슈퍼(シュポ)と言います。語感からすると町内に昔からあるたばこ屋さん的小売店。規模の大きい店舗は
마트(マトゥ)
です。
(7)セクハラ:성희롱(ソンフィロン 性戱弄)
和製英語によくある短縮形は英語圏はもちろん、韓国でも通じません。ニュースなどで報道される場合は、英語 (sexual harassment)よりも韓国語の方が一般的です。
(8)デパート:백화점(ペックァジョム 百貨店)
「デパート、デパート」と繰り返し言えば80%くらいは通じるかと思います。ちなみに日本の関西圏でもデパートよりは百貨店(ひゃっかてん)が優勢語彙。
(9)フリーター:백수(ペッス 白手)
韓国語の백수(ペッス)は無職(求職中のニュアンスも含む)の状態を指すので、正確には日本語のフリーターとは違います。日本では「フリーターをしています」と表現しますが、韓国ではぴったりの表現がありません。
(10)マンション:아파트(アパトゥ)
マンションは英語で豪邸を意味するので誤解されるよ、とはよく聞く話。韓国の場合、誤解はされませんし、マンションと名のつくアパートもなぜか多いです。でも、一般的に使われるのは아파트(アパトゥ)。
2.仲良く揃って間違ってます!それ英語ちゃうし。
韓国人にはなぜか通じる和製英語。実は日韓ともに同じ間違いをしているという…。
(1)アフターサービス:애프터서비스(エプトソビス)
(2)アルバイト:알바이트(アルバイトゥ)
英単語が覚えられないからやっちゃうんですよね。
(6)パン: 빵(パン)
韓国の中高年はケーキもパンと言ったりします。
(7)ファイト:
파이팅(パイティン),화이팅(ファイティン)
韓国の芸能人がインタビューでよく使うのでご存知の方も多いでしょう。
(8)ファックス:팩스(ぺクス)
最近、あまり使わないかも。
(9)モーニングコール:모닝콜(モニンコル)
韓国のホテルでお願いしたら、ちゃんと通じるので起こしてくれます!
(10)レンジ:전자렌지(チョンジャレンジ)
日本語と同じく
電子レンジ
という表現が一般的です。
これらはほんの一例。日本語と同様、韓国語も外来語が多いので、ややこしいですね。
また、外国語の発音をカタカナで表現しきれないのと同様、ハングルにもその悩みが。なので、F発音がPに置き換えられてしまうのは、その代表例。
一方、カタカナ50音よりハングルの方が発音表記のパターンが多いので、英語表記をする際に、より原音に近い再現ができることもあります。
これがお互いの「英語が下手」発言につながるわけです。
カフェラテは韓国ではカペラテ(카페라떼)、サンキューはテンキュー(땡큐)ですからね。
韓国旅行にいらした時はぜひコングリッシュを味わいつつ、ジャパニーズイングリッシュでゴリゴリ押しながら、韓国人の皆さんとのコミュニケーションを楽しんでください。
※紹介単語の正しい英語表現はここでは割愛しています