衣食住にはその国ならではの文化が色濃く出ますが、韓国の住まいあれこれもその例外ではありません。チョンセという制度にも驚きましたが、引越し当日のお金の流れも衝撃でした。あまりにもカルチャーショックだったので語学学校では立て続けに3回、発表内容に不動産を選んだほどです!
毎年9月になると、天安(チョナン)に引っ越してきてもうこんなに経ったのか…としみじみします。韓国内でこれから住居探しされる方、お引越しされる方に少しでも参考になるかもしれないので、まとめてみたいと思います。
不動産探し
チョンセで契約更新しない場合、2年で引越しをすることになります。契約終了日より前に出る場合、次の住居者を自分で探さなければいけないことも。持ち家の場合は、家が売れ次第新しい家探しをはじめることになります。不動産屋さんを介して、家の持ち主本人とやり取りする場合と、家の管理会社とやり取りすることもあります。
不動産探しは、良心的で親身になってくれる不動産屋さんにあたるのが理想的。家をみてまわるときは、人が住んでいる状態でお邪魔して見ます。ことによっては、家に住んでいる人が留守の状態で見たり、留守のときに家主が家に住んでいる人に断らず勝手に入って見せてしまうこともあります!
不動産は早い者勝ち。中を見る前に契約するのは…と考えているうちに誰かが先に契約してなくなって、ということがよくあります。土日は不動産屋さんも忙しいので、平日に行くのも一つの手ですね。
|
|
|
ユニットバス
|
電子ロックが一般的ですが、鍵をつかっているお宅も
|
韓国名物、据え置き型のエアコン
|
不動産契約
めでたく家が見つかって契約になると、不動産屋さんを介して家の持ち主と契約書、お金をやりとりします。このときに相手が身分証明書を忘れてきたり、印を忘れてきて取りに帰ったり…ということをよく!聞くので次の予定をいれず、時間には余裕をもったほうがよさそうです。
もちろん、契約書を要チェック。私達の場合も、契約書に一部不備がありました。帰りかけている不動産屋さんと家の持ち主を引き止めて当時韓国語のよくわからなかった私に、主人が契約書の内容をその場で翻訳して聞かせているときに発覚しました…。
引越し当日の流れ
天安の
ヴィラから天安のアパートに引っ越した時は、お任せパックのような引越し業者を手配しました。朝8時過ぎに引越し業者(4人)が家にきて、ものすごいスピードで荷物を作り、10時過ぎに出発。このとき、業者は土足で家に入り作業します!
自分が引っ越す家に引越す当日に、引っ越す家に住んでいた人も引っ越すということがよくあります。引越し先の家に到着したところ、まだ引っ越し先の家に住んでいた人の引っ越し準備が完了していなかったので11時過ぎまで待機。私達が手配した引越し業者が、住んでいた人の引越し業者を手伝っていました…。
12時半には引越し荷物を入れ終え、業者がひきあげていきました。主人はお金のやりとりを済ませに奔走。1時頃に購入した冷蔵庫と洗濯機が到着、2時頃に掃除屋さんがきて水周りを掃除。主人は役所をまわって手続き。引越し当日は本当に慌しく、4時過ぎてから朝から何も食べてないことに初めて気がつく有様でした。
|
|
|
引越し準備ほぼ完了
|
大事なものは自分で
|
ベランダからクレーンで搬入
|
通常このような引越しでは掃除は全て引越し荷物が家に入り終わってから、自分達ですることになります(引越し業者を待たせると延長料金が発生)。なんて主婦の負担の多い引越し!私は水周りだけは業者に頼みたかったので、掃除屋さんを手配しましたが、新築以外では請け負っていないと3軒断られました。
引越し中にものがなくなったり、引越し業者に冷蔵庫のものを勝手に飲食されたという話も聞きます。日本ほどものを丁寧にあつかってくれず、荷台にぽんぽんと椅子を積み重ねたり、キャスターつきのものは外を転がしていかれたりします。
私達は貴重品や大事なものはあらかじめスーツケースにいれて自分達で持ち運びましたが、大きくて自分達で持ち運びできないけれど大事なものは、あらかじめ大きな布に包んでおくなどの事前準備が必要です。
引越し当日のお金の流れ
引っ越し先の家の持ち主に前金を払っていますが、引っ越す前の家の持ち主から保証金を返してもらわないと代金がそろいませんでした。もちろん、ふんだんにお金がある場合は保証金の返金をあてずとも事前に支払うことができますが、ほとんどの場合そうはいきません。
保証金はたいてい引っ越す当日に返されるので、そのお金を返してもらい次第引っ越す先の家の持ち主に支払います。おそらく、引越し先の家に住んでいた人も保証金を当日返してもらうので、引っ越し先の家の持ち主から保証金を返してもらい、次の引越し先の家の持ち主に支払います。
大きなお金が引越し当日に何度も動くわけです!もしどこか1ヶ所でも動かせないことになったらどうなるのか。お世話になった不動産屋さんに聞いてみましたが、これまでそんなことはない、と言い切られました。…本当でしょうか!?
ほとんどのヴィラの特徴
なぜか韓国人にとって印象のよくないらしいヴィラ。なぜだろうと思っていましたが、住んでみてなんとなく理由がわかりました。ひとつは、管理会社が24時間管理しているわけではないので、防犯上の不安があることや、ゴミ捨て場が汚くなりがちなこと。
風通しの良い構造ではないので、カビが生えやすいことなどです。当初住んでいたヴィラは、家自体の大きさは十分だと思っていましたが、収納スペースがあらかじめ作られているわけではないので、収納のため色々なものを置くと狭く感じました。
|
|
|
何もないと広く感じるヴィラ
|
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電は備え付け
|
欠陥住宅で、壁紙から水が染み出しカビが
|
韓国のアパートの特徴
スピーカーがついており、アパート内放送が流れます!放送の内容は、エレベーターの点検や駐車場に関すること、アパート内一斉消毒に関する案内、騒音や煙草の煙などに関する苦情についてなど。午前中と午後8時から9時の間に流れることが多いように思います。
|
|
|
アパート内放送のスピーカー
|
足りないものはDIYで
|
うちの家名物、洗濯板(左下)!
|
最近はユニットバスではなく別々のお宅や、廊下のあるお宅もあるのだとか。室内装飾に流行があるようで、派手な壁紙だったり、やたらダイニングにシャンデリアがついていたり、飾り棚が多かったりということもあります。
駐在の奥さんがお住まいの高級住宅は、素敵なエントランスやロビーがあり、エレベーターも最新のホテルのようにカードキーをあてないと階が押せなかったりします。
日本の家の構造は湿気を逃がすよう作られていると聞きますが、韓国の家は寒さに強いよう窓は全て二重窓、密閉性が高いです。韓国生活の必需品、ボイラー(オンドル)も完備。
冬場は気温が下がりすぎるとボイラーが凍結し、故障の原因になるので、外出中も定期的にボイラーが作動するよう設定することができます。最近は韓国も夏場はとても湿気が多いので、バスルームの湿気に悩まされます。また、韓国では基本的に窓の近くに室内干しです。
|
|
ボイラーの操作盤
|
インターフォンの操作盤
|
憧れの新築、にご注意?
住居トラブルは本当に多いようです。チョンセの保証金が返してもらえないトラブルはもちろん、チョンセのつもりがトラブルで買取になったり、契約期限がきていないのに立ち退くことになったり、管理費を受け取る会社が2つあって争っていたり…
新築のお宅に引っ越してみると、住宅建築時の問題で虫が大発生したり、カビが生えたり、傷がついていたり…と住んでからはじめてわかる問題があることも。建って3年ほどたって問題がないとわかっている家がいい、というベテラン奥さんもいます。
|
|
旅行先でオフィステルに宿泊
|
チプトゥリまでが引越し?
|
以上、韓国での引越しと住宅事情でした。頻繁にソウルに来ているのだから、ソウルに引っ越したら?と言われることもありますが、引越しは本当に大変ですし、シデク(義両親の家)とある程度の距離が離れていて(笑)、古いですが日当たりと風通しが良い家というのは有り難く、このままでもいいなと感じています。
編集部:ふぐやん