時折、日本文化がたまらなく恋しくなることがあります。そんな時に心を潤してくれる、日本文化の集大成・茶道。ソウルには、裏千家ソウル出張所があり、お茶のお稽古に通うことができます!
歴史的に、茶道は朝鮮半島と深く関わりがあり、朝鮮半島由来の陶磁器、高麗茶碗は日本の茶人たちに珍重されました。興味を持って熱心に通われる韓国人も多く、日本語と韓国語を織り交ぜてお稽古をしています(お稽古日によっては日本語だけ、韓国語だけの場合もあります)。
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裏千家ソウル出張所の茶室・広間
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裏千家ソウル出張所の茶室・小間
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お稽古はほぼ週に1回、3時間ほど(1年に3学期あり、1学期につき12回)。裏千家学園茶道専門学校に通われた韓国人の先生が指導してくださいます。初めての場合は、入門前に3ヶ月の見学期間が。正座にも慣れてきた頃、晴れて入門となります。実際のお点前(お客様にお茶を出す亭主役が、お茶を点てる一連の動作)を習い始めるときは、うれしさもひとしお!
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入り口で茶室に入る準備を、アクセサリーも外す(手前が靴箱、奥が荷物を置く棚)
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女性なら膝が隠れるスカート、胸の開きすぎていないトップス、白い靴下が必要
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自分で持参する、お稽古に必要なお道具(購入可能)
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とはいえ、当初は複雑に見える道具の扱いやお点前の手順に、面食らうこともしばしば…。おまけに茶道で使う言葉は、日本語!?と疑いたくなるくらい、普段使わない難しい言葉が多く、舌を噛みそうになることも。
お点前は、一切無駄な動きがなく、合理的な動作です。が、はじめは手順を覚えるので精一杯で、そういう気付きはなかなか得られません~。こっちができたと思えばあっちができなくなったり、いきなりど忘れしたり。でも、茶道は体で覚えるものともよく言われます。何度も同じお稽古をして修練していくうちに、板についてくるはず。そして、考えなくても体が動くようになったとき、無我の境地に至れるのかもしれない…!?
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はじめに習う、お客様のお稽古
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お菓子のいただき方とは?
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お抹茶のいただき方とは?
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日本の茶道が、中国の茶芸、韓国の茶礼と大きく違う点の1つは、粉末のお茶、抹茶を使うこと。一杯のお茶をおいしくいただくため、飲む前にはお菓子をいただきます。お稽古でいただける和菓子も、甘いものに目がない私には楽しみで仕方ありません!主菓子(おもがし)と呼ばれる上生菓子と、干菓子(ひがし)と呼ばれる乾燥したお菓子があります。季節ごとにたくさんの種類があり、その静かなたたずまいとかわいさは悶絶もの~。
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韓国では手に入らず、日持ちしないため、先生や生徒さん手作りの貴重な主菓子
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和三盆、落雁、琥珀、煎餅などの干菓子
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高価なお抹茶をふんだんに使って練る濃茶
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流儀によって点て方に違いの出る薄茶
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お稽古の流れは、まずは茶室の掃除から。畳や水屋(準備室のような場所)を拭いて清めます。釜に必要なお湯を沸かしたり、お稽古に必要な道具を準備して、全員でお稽古はじまりの挨拶。そして、来た順に一人ひとりお稽古をし、お客様役になってお抹茶もいただきます。他の方のお稽古を見て、見取り稽古をすることも大事です。全員が終わったら、終わりの挨拶をし、お稽古で使った道具をすべて片付けて終了!
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お稽古前に水屋で使う道具の準備を
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お菓子をお客様に
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お点前を始める前の挨拶
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お点前中は心地良い緊張感が
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お点前の種類がたくさんあり、使う道具にも様々なものがあるので、お点前のバリエーションは無限といってもいいほど!でも、段階を踏んでお稽古していくので、基礎をしっかり身に着けていれば、難しいお点前もこなせるようになるのだとか。季節によって、その時期だけのお点前や道具の取り合わせ(組み合わせ)もあり、四季を大切に、楽しもうとする日本人の心を感じます。
茶室に一歩入ると、気持ちが引き締まり背筋が伸びます。釜の湯が沸く音に耳をすませると、雑念などが消え、心が落ち着くので、癒しの効果もあるといわれています。
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お点前として一番はじめに習う、お盆点てに使う道具
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釜の位置は、季節によって変わります
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いろんな種類の棚
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お客様をお招きするお茶会は、日ごろのお稽古の成果を試す良い機会。裏千家ソウル出張所でも、年に2回開催される外部の方をお招きするお茶会があります。お茶会では1~2時間、たっぷりお茶の世界を体感できます(難しい作法を求められるわけではなく、入門を勧められるわけでもないので、興味のある方は気軽に参加を!)。
また、韓国ならではの日韓交流のイベントや、茶道デモンストレーションのお手伝いなど、外国ならではの席に参加できることもあり、とても勉強になります。時には、韓国茶道の先生にお目にかかり、日韓のお茶の違いを認め合い、楽しく話し合う場もあったりします。
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11月はじめの炉開き茶会
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新年を迎える初釜の茶会
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お稽古メンバーごとに、不定期で行われる茶会
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聞慶伝統茶碗祭り
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日中韓茶文化シンポジウム
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京都・今日庵の前で
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「道」がつく習い事は、奥が深く一生修練していく必要があるものばかり。茶道もそのひとつで、ここまでやったら終わり、ということがありません。単にお点前をお稽古するだけでなく、和菓子や料理、歳時や着物の知識、書道、茶花など、様々なことが関わっているので、気付けば自分の引き出しが増えていることも。
日本には茶道の流派がたくさんあり、根本の考えはどこも同じと思いますが、裏千家のうれしいところは、外国にも多く出張所や協会をもっているところ。海外でも日本の文化を味わい、関わっていけるのは本当にありがたいです。仕事が忙しかったり、子育てなどで、時には学期を休む方もいます。私も心のよりどころとして、無理なく長く続けていけたらと思います。
ご興味もたれた方は
までご連絡ください。
編集部 ふぐやん