夏なので釜山にひと泳ぎ行ってきたのだが、ふと思い立ってついでに映画「チング(友へ)」のロケ地めぐりをすることにした。「チング」はユ・オソンとチャン・ドンゴンが主演した、アツイ友情映画。昔の松田優作の映画みたいに男くさく、だけどノスタルジックな気分になる、好きな韓国映画のひとつである。
しかし、ロケ地めぐりってやつはヘタすれば失敗に終わる危険性を伴っているものである。南怡島やチャングムテーマパークやらはそのものが観光地なのでいいのだが、そうではない普通の場所、たとえばただの道路だったり、ただのトイレだったり、ただのマンションだったりすると、予想外にへぼく、行っても「へー」で終わってしまいショボーンとなりがちなわけだ。私的にはよっぽどそのドラマなり映画に思い入れがないと決行してはいけないことのひとつなのである。そういうわけで、釜山での大事な時間をロケ地めぐりに割いていいものかどうか不安だったのだが、これが意外とおもしろかった。
他校の生徒と大乱闘となった「三一劇場」、主演の4人が駆け抜けて行った「跨線橋」、映画どおりの昔なつかしい風景だった。
そして旅のクライマックス、ラストシーンでチャン・ドンゴンが死んだ場所がある国際ホテル前へ行った。しかし、やっぱり予想通りどう見ても普通の道。いったいどこで死んだのかがわからない。仕方ないので、宿泊客でもないくせに国際ホテルに入っていって「チャン・ドンゴンはどこで死んだのか」と聞いてみた。はじめ「は?」と言われてしまったが、奥から「チングね、私にまかせなさい」というおじさんが現れた。おじさんは親切にもホテルの外まで出てくれて、「当時チャン・ドンゴンを案内したんだよ」と、つぶさに説明してくれた。それがこの写真。
親切なフロントマンの協力もあって、あの壮絶なラストシーンが目前に蘇えってきた。映画を2倍楽しめたようなものだ。たまには思いつきのロケ地めぐりも悪くないものである。
名前を聞き忘れたのだが、国際ホテルの優しいフロントマン、本当にありがとう。(編集部:mmkim)